センソージ・ロックの今月のコレ
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今月の特撮
今月は邦画各社の特撮大作が目白押し。東宝の『日
本海大海戦』と大映の『大魔神』は、日本特撮映像の
最高峰といって良い。
さて日活代表は、『風速40米』である。大映に『風
速七十五米』(1963)という特撮映画があり、それよ
りも35メートルほど風が弱いが、こちらの特撮もご
期待あれ。
などといいつつも、日活特撮の特徴は、一体どこが
特撮なのか見終わってもわからないところ。それほど
良く出来ているということ。そして、東宝や大映に比
べると格段に尺が短い。
たとえば、当館でも上映したことのある『拳銃は俺
のパスポート』(1967)の特撮は、トラックに押され
た乗用車が海に落ちるワンカットのみ。時間にして2
秒あるかないか。
日活はこんな風に特撮を使っているので、『風速4
0米』でも、目を皿のようにしていただかないと判別
出来ないかもしれない。まあ、台風のシーンであるこ
とは間違いないだろうが。
東宝、大映、日活とくればあとは松竹である。松竹
で特撮と言えば『宇宙大怪獣ギララ』(1969)とか『吸
血鬼ゴケミドロ』(1969)が頭に浮かぶが、もちろん
他にもあって、例えば『人魚昇天』(1958)の貨物船
の爆発は(日活並にワンカットだけど)印象的。
この三橋達也主演のアクション映画、特撮以外にも
見所があって、ソレガシお気に入りの一本だが、トン
と上映されない。久しぶりに見てみたい。 (2012.2) | |
今月の浅丘ルリ子
明けましておめでとうございます。
今年も浅草新劇場をよろしくお願い致します。
今月の番組を見ると、浅丘ルリ子の出演作が四本も
並んでいる。過去にもこういうことがあったが、その
時は完全にスルーしたので、今回は触れねばなるまい。
当館は一応、日活映画をメインとしているので、日
活の看板女優の一人であった彼女の出演作が重なるの
は避けて通れぬところ。『狙撃』のように他社の映画
にも出ているので、やりようによっては、ひと月丸々
浅丘ルリ子出演作品なってこともやれる。
その時は当然、恒例の『男はつらいよ』はリリーの
登場作品になる。
ところで、浅丘ルリ子と言えばソレガシが思い出す
のは、市川崑監督で作った主演作『鹿鳴館』。今では
幻の映画となってしまったが、これをスクリーンで見
ていることが、ソレガシのささやかな自慢。
フト気づいてみると、新年号の『江戸楽』のエッセ
イも彼女の出演作『危いことなら銭になる』だった。
ソレガシ、彼女にそれほどの思い入れはないのだが、
好きな映画に出ていると嫌いにはなれない。でも、ア
クションは上手くないかも。 (2012.1) | |
今月の一本もない
今月の番組表を見て驚いた。なんと一本も見ていな
い(上映したことはあるんだが)。毎月偉そうなこと
を書いていて、今更ながらとは思うが、実はソレガシ、
それほど映画を見ていない。
世の中には想像を絶するほど、映画を見ている人が
居る。今まで会った人の中でトップは、年間400本
であったが、この前、800本見たという人の話を聞
いた。もちろん、テレビやDVDではなく、スクリー
ンで見ている本数である。そんな人に比べたら、ソレ
ガシなどチンピラにもならない。
もちろん映画鑑賞なんてものは、人それぞれ自由で
いいわけで、本数を見ていれば良いというものでもな
い。が、多く見ることが美徳である時期があったのも
事実。それにしても、一本もないとは、少々情けない。
来年はもっと映画が見られますように……。
大変な年でありました2011年も今月で終わり、
今年一年間、浅草新劇場をご愛顧頂きましてありがと
うございました。
来年もみなさまに、楽しい映画をたくさん見ていた
だけるよう、従業員一同、がんばっていきますので、
よろしくお願い致します。 (2011.12) | |
今月の映倫マーク
今更クドクド書くこともないと思うが、『映倫マー
ク』というのは、映画の冒頭か終わりに(昔の映画は
その両方)、画面の隅っこに登場するアレである。あ
んなものに注意を払っている人間は、ほとんどいない
と思われるが、今月はちょっと気にかけて欲しい。
昔の映倫マークには、それはそれは小さいミクロサ
イズの文字で、その映画の題名が記載されているのだ
が、まれに違う題名が書かれている場合がある。
今月上映される『グアム島珍道中』がそれだ。
映倫マークには、『喜劇やさしくだまして』とある
のにご注目。ギリギリ読める大きさなのでご安心を。
実はこれが『グアム島珍道中』の元の題名。こちら
で映倫に通ったが、お蔵入りとなり(70年代に何故
か頻発した、東宝のお蔵入り作品の一本である)、そ
の後、再編集と改題を経て、公開されたのが『グアム
島珍道中』というわけ。
今回、映倫マークと共に作品をよく見て、お蔵入り
の理由を推理してみよう。
さてこんなことでもないと注目されない映倫マーク
だが、どの位置に出すのかは、ちゃんと人の知恵が使
われてデザインされている。これも映画人の仕事なの
で、お見逃しなく。 (2011.11) | |
今月の柳の下のドジョウ
今月はシリーズ作品が目白押し。このチラシに載っ
た十五作品中、八作品がそれに該当する。
真ん中におさまった鈴木清順の三本立てすらも、そ
の個性故に『清順シリーズ』と括ってしまえるかもし
れない。
いまも昔も、一本当たればシリーズ化決定の映画界
だが、それにしても日本映画黄金期は多かった。一般
的に柳の下にドジョウは二匹いると言うが、二匹どこ
ろの騒ぎではない。
もちろん何匹もいるに越したことはないが、延々と
作り続ける監督たちの心境をつい考えてしまう。
さて、海の向こうへ目を移すと、ハリウッドでは一
本の柳の下のドジョウをすくってしまったら、そのド
ジョウをもう一度放流する作戦に出ている。
シリーズを一度完結させた後に、再び心機一転始め
るという寸法。『リブート』なんぞと呼ばれているが、
ソレガシには意味不明の言葉。おそらく『他に企画が
ないから、これで我慢して』という意味だろう。
そういえば、政界にもなにやらドジョウが現れたら
しいが、これで我慢してということになるのか?
ちなみに、今月新劇で上映される八匹のドジョウは、
どれも粒よりである。 (2011.10)
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今月の生き返ってみろ
原田芳雄さんの突然の訃報には驚かされた。原田さ
んは、俳優としてはもちろんだが、鉄道マニアとして
も有名だったので、モグリの鉄道ファンであるソレガ
シ的には、そっち方面での親近感が強かった。
今年初めにも、テレビの『タモリ倶楽部』に元気な
姿を見せ、それこそ少年のような眼差しで、鉄道映像
を見入っていた姿が今も思い出される。
さて、原田さんの追悼記事を読んでいて、痺れたの
がこれだった。原田さんが読んだ、松田優作さんへの
弔辞である。
『役者だったら生き返ってみろ』
今ここに書き出しても、改めて痺れる。
ということで今月は、新劇場で『反逆の旅』と『野
良猫ロック 暴走集団71』。お隣の名画座で『いつ
かギラギラする日』と『君よ憤怒の河を渉れ』を追悼
上映。特に28日からは、原田さんをリスペクトし続
けた松田優作さんの『野獣死すべし』も上映。
肉体は滅びても、フィルムに定着された姿は、上映
されるたびに生き返る。是非、この機会に原田さんに
痺れて欲しい。
こうなると、原田さんの幻の映画『夕映えに明日は
消えた』が、見たくなるなあ。 (2011.9)
(訂正 2011.10)
原田さんは、今年初めの『タモリ倶楽部』には、出演されてませんでした。ここにお詫びします。
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今月の山本五十六
二ヶ月連続で戦記物ネタで申し訳ない。今月は、お
隣の名画座と併せて、三本の戦争映画が見られるので、
避けては通れぬのだ。
東映の正月映画は、『聯合艦隊司令長官山本五十六』
だという。ならばというわけではないが、新劇では東
宝の『連合艦隊司令長官山本五十六』を上映する。ほ
とんど同じ題名だが、そうなのだから仕方がない。東
映版で五十六を演じるのは、役所広司。それを聞いた
時、似てないと思ったソレガシだが、じゃあ、東宝版
の三船敏郎が似ているかというとそうでもない。
この二人の他、五十六を演じたのは、大河内傳次郎、
佐分利信、島田正吾、山村聰、丹波哲郎、等々。外見
的にそっくりという人はいない。
個人的には、顔の骨格からして、殿山泰司が一番似
ていると思うが、残念ながら演じていない。殿山亡き
後は、彼に似ている竹中直人がいいと思うが、そう考
える人はいないようだ。これまた残念。
もっとも顔が似てりゃあいいってモンでもない。『連
合艦隊』で五十六を演じた小林桂樹のように、気持ち
から似せていく手もある。実際、小林の五十六は本物
そっくりと言われた。さて、役所広司がどんな五十六
を見せてくれるのか、今から楽しみだ。 (2011.8) | |
今月の男の艦(ふね)
今月の目玉は27日からの『男たちの大和/YAM
ATO』である。
男子たるもの、一生に一度必ず『やまと』にハマる。
それが『戦艦』になるか『宇宙戦艦』になるかは知ら
ないが、とにかくハマる。
昭和四十年代の戦記物ブームの時、小学生だったソ
レガシもハマッたハマッた。だから大和にはうるさい
よ。ああじゃないこうじゃないと後で言って、作り手
たちの男気に水を差したくなかったから、この映画は
見なかったぐらいだ。
でも今になって後悔している。やっぱり見ておいた
方が良かったなあ。
近頃の映画は封切りが終わると、なかなかスクリー
ンでは見られぬのだ。軍艦という横長の被写体は、やっ
ぱり可能な限りデカいスクリーンで見てみたい。ホー
ムシアターなんて邪道も邪道。だからこの機会に新劇
場のスクリーンで見てみよう。一度見た人はもう一回
見よう。
なんと、作品としてはもちろんこと、東映映画が新
劇で上映されることは、(記録上)初めてのこと。こ
れが快挙となるか、暴挙となるかは、従業員一同一層
奮励努力せよ、というところである。 (2011.7)
月刊『江戸楽』、最新号配布中。ご希望の方は受け
付けに、お気軽にお申し付け下さい。希望者が多いた
め、お一人様一冊ずつの配布となりますので、ご了承
下さいませ。数に限りがございますので、お早めに。 | |
今月のなにがなにやら
今月の月刊『江戸楽』のエッセイで取り上げるためもあって、『渡り鳥シリーズ』について少々調べた。
すると、今月上映の『渡り鳥 故郷へ帰る』は、本来『渡り鳥シリーズ』の一本ではないという。小林旭の役名や、物語の構造がシリーズの他の作品とは違うのがその理由らしい。『渡り鳥』と銘打って、実は違うというのはなんともややこしい。
ややこしいと言えば、撮影当時の小林旭のエッセイによると、『渡り鳥シリーズ』は、先月当館でも上映した『南國土佐を後にして』が第一作であるという。しかも、本来『流れ者シリーズ』に分類されている『海から来た流れ者』『海を渡る波止場の風』『南海の狼火』も、実質的には『渡り鳥シリーズ』なのだという。ちなみにこの三作での彼の役名は、『渡り鳥シリーズ』とは異なっていて、単純に役名でシリーズを分けているのでもないらしい。
当初は『渡り鳥シリーズ』と企画されたのが、後になって新シリーズになったのかもしれない。渡り鳥も流れ者もあまり違いはないと言ってしまえばそれまでだが、小林旭はシリーズが多いので、どの映画がどのシリーズに属するのかわからなくなる。
どこがどう違うのかは、今後当館で上映されることもあると思うので、見比べていただきたい。 (2011.6)
拙著『映画館のまわし者』、近代映画社より発売中。『キネマ旬報』5月下旬号に書評が載りました。買おうかどうしようか迷っていましたら、ご参考に。 | |
今月のタイトルデザイン
総合芸術と呼ばれる位なので、映画の見所はその気
になればあらゆるところにある。
たとえばソレガシなど、映画が始まった瞬間から大
忙しである。まずは配給会社、製作会社のマーク、続
いて製作会社のタイトルを見逃さず、その次に来るの
はメイン・タイトルがどのタイミングで、はたまたど
んなデザインで登場するのかが、毎度の楽しみであり、
映画冒頭のワクワクするところ。
今月上映の『打倒〈ノックダウン〉』は、タイトル
の出し方が洒落た一本。どんな風に出るかは見てのお
楽しみ。
近頃の新作日本映画では、無味乾燥なタイトルがは
びこって、そんな方面からも、見る気を失わせる原因
となっているが、当館で上映されるような60年代の
作品は、タイトルデザイン一つにも凝ったものがたく
さんあって、それだけ見ていても楽しい。
特に『社長』シリーズは、アニメーションなど用い
たりして楽しいタイトルが多いので、今月上映となる
『社長えんま帖』も注目である。
こうした凝ったタイトルを見るにつけ、当時の余裕
を感じられるのだが、いかがであろうか?
アメリカ映画では、タイトルデザイン界のスターと
も言うべき人物がいて、今もワクワクさせてくれてい
るのだがなあ……。 (2011.5)
拙著『映画館のまわし者』、近代映画社より、好評
かどうかわからないけど発売中。 | |
今月のロケバス
名作西部劇『シェーン』の、これまた名シーンとの
誉れも高いラストシーンの遠景に、西部開拓時代には
あるはずもないロケバスが映っているという話がある。
そんな場面が27日から上映の『ホラ吹き太閤記』で
も見られる。
この作品、植木等主演のスチャラカ時代劇コメディ
だが、題名通り『太閤記』を題材にしているだけに、
合戦シーンがクライマックス。
監督の古澤憲吾は東宝時代、『あいつがクロサワな
ら、オレはフルサワだ』と、黒澤明にライバル心を持っ
ていたそうで、それを物語るように、合戦シーンはス
ケールが大きく、なかなかの迫力。
ところが勢い余って東宝のロケバスが映ってしまっ
た。おまけにそれを堂々と使うところは、巨匠ならぬ
職人である古澤の太っ腹なところ。『少々のことには
目をつむる』というのが、彼のモットーだった。
なんて偉そうなことを言っているが、ソレガシ、こ
の映画を何度も見ているのだが、いまだにロケバスを
確認していない。ソレガシも少々のことに目をつむっ
ているらしい。今回こそはと思っているのだが、果た
して確認出来るやら。このロケバス以外にも、城のロ
ケ場所がどう見ても観光地にしか見えなかったり、織
田信長がハナ肇(!)だったりと、必見。 (2011.4)
ソレガシの初書籍『映画館のまわし者』(本名名義)。
近代映画社より、全国有名書店と新劇場で発売中。
よろしくお願い致します。 | |
今月のTOTO
外国のロックバンドに『TOTO(トト)』という
のがあるが(現在活動休止中らしい)、彼らが来日し
た時、御手洗いに行く度に驚喜したそうだ。
なぜならば、用足しのための白い陶器に必ずと言っ
ていいほど、バンド名を目にしたから。
もちろんそれはバンド名ではなく、東洋陶器を意味
する『トートー』だったわけだが、今月初上映となる
『トイレット部長』は、東洋陶器もびっくりの作品。
なにせ、キ○隠しから『隠し』をなくしたらどうな
るか、とか、御手洗いの個室に、人はどういう足の運
びでしゃがむのか、なんて事を、先頃亡くなられた池
部良さんが、まじめに考える喜劇映画。
よくもまあこんな変な映画を作ったものだと思うが、
なんと池部良さんの企画だという。
東宝にはこの他にも『ガンパー課長(1961)』なん
ていう、意味不明の役職モノがあるが(藤木悠主演)、
こちらはピストル型の殺虫剤を売るお話。ガンッとぶっ
放すと、害虫がパ〜とやられるという、アホみたいな
商品。『ガンパー、ガンパー、ガンパー』と歌うCM
ソングまで登場するところがおかしい。
なんともはや、軽やかな企画が充実していたことか。
こういうところに、日本映画黄金期の豊かさを感じる
のは、ソレガシだけではあるまい。 (2011.3)
なんとソレガシ、『映画館のまわし者』なる本を出
すことになりました(本名名義)。近代映画社より、
2月26日発売。よろしくお願い致します。 | |
今月のウマヅラ
ウマヅラと言っても魚の話をしようというのではな
い。長い顔のことである。
今月23日から上映の『大日本チャンバラ伝』は、
新劇初登場作品。主演は浅草出身の俳優、伊藤雄之助
である。彼の主演作といったら、岡本喜八の『ああ爆
弾』と市川崑の『プーさん』だけかと思っていたら、
他にもあって驚いた。
この伊藤雄之助、あまりの顔の長さに、映画が横長
シネマスコープになると聞いた時、
『これから俺は、横に寝ている役しか貰えないのか』
と、ぼやいたほど。
ところがそんなことはなく、その後もコメディから
シリアスまで幅広い作品に出演し、一度見たら忘れら
れない強烈な印象を残した。
同じ週には、もう一人のウマヅラ、藤田まことの『必
殺4 恨みはらします』も上映するので、どっちの顔
が長いかこの際比べてみよう。
さて、近頃の男優はおしなべてツルンとした顔が多
く、日本映画を見ていてもちっとも面白くない。そん
な中で、現代のウマヅラ代表は、嶋田久作だろう。や
はり岡本喜八にも気に入られ、喜八組では伊藤雄之助
の再来との声もあった(ただし、監督は否定)。現在
ヒット中の『武士の家計簿』にも出ているので、その
長〜い顔が見たくなったらどうぞ。 (2011.2)
| |
今月のデコちゃん
明けましておめでとうございます。
今年も新劇会館をよろしくお願い致します。
先月お隣りの名画座で、浅草ではめったにお目にか
かれない大女優、原節子様の出演作品が上映されたか
と思えば、今月は新劇で、これまためったにお目にか
かれない高峰秀子様の出演作を上映する。
『鬼の棲む館』である。
当館でのデコちゃん(いきなりくだける)のご登場
は、おそらく『無法松の一生』(1958)以来。
まあどうでもいいことだが、ソレガシは原節子様よ
りも、デコちゃんの方が好みで、その昔、ラジオ番組
にゲスト出演した時、
『(いろんな人にプロポーズされたけど)貧乏な人と
結婚して良かったなぁ〜』
と、あの鼻にかかった声で言われて、それこそメロ
メロになったものである。
ちなみにその貧乏な人とは、映画監督の松山善三。
彼はもう引退しているが、その引導を渡したのもデコ
ちゃんに、
『あなたの演出は、時代遅れなんだからやめなさい』
という言葉なのだそうな。なんとも潔い。
ところで『鬼の棲む館』だが、ソレガシは大昔にテ
レビ東京で見たっきりで、どんな内容だったのかまっ
たく覚えていない。谷崎潤一郎の文芸時代劇だったと
思うが、写真を見ると勝新の立ち回りもあるようで面
白そうだ。 (2011.1)
高峰秀子さんは、昨年12月28日に亡くなられました。謹んでご冥福をお祈り致します。
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今月の本物そっくり
谷啓さん、池部良さんに続いて、小林桂樹さんまで
亡くなられてしまわれた。毎年誰かしら有名人が亡く
なるとはいえ、好きな俳優にこうも立て続けに逝かれ
るのは正直つらい。
今月は、『昭和ひとけた社長対ふたけた社員』と『幕
末』を上映して、つつしんで小林桂樹さんのご冥福を
お祈りしたい。
小林さんといえば、いかにも小市民といった役柄が
すぐに浮かぶが、その一方で実在の人物を多く演じて
いる。たとえば、戦争物なら『連合艦隊』の山本五十
六や『軍閥』の東条英機、文芸物ならば、『江分利満
氏の優雅な生活』の作家・山口瞳や『裸の大将』の画
家・山下清、サスペンスなら『首』の弁護士・正木ひ
ろしといったところが代表であろう。
驚くべきは、どの作品も本物そっくりに見えること
だ。山口瞳は、本人のお墨付きだったし、正木ひろし
は、写真を見ると実際良く似ている。山下清の場合、
ソレガシは本人よりも小林さんの方が先に浮かんでし
まう。
不思議なのは山本五十六や東条英機だ。顔立ちはそ
れほど似てはいるとは思えないのだが、映画を見てい
るとそっくりに見えてくる。実際、山本五十六は、本
物そっくりと新聞で評された。
今月上映の『幕末』では、西郷隆盛を演じている。
これまた顔立ちそのものは似ているとは思えないが、
きっと映画を見ている内に、本物そっくりに見えてく
るに違いない。 (2010.12)
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今月の下ネタ
今月の目玉はなんといっても『シコふんじゃった』
であろう。主演は本木雅弘である。
この俳優、近頃ではお茶のコマーシャルのイメージ
が強い。しかし、ソレガシにとっては、本木雅弘とい
えば下ネタである。
この『シコふんじゃった』、相撲部を舞台にしてい
るだけに回し絡みのギャグが多い。『タ○が潰れる』
だのなんだの繰り返し出てくる。
おまけに監督の周防正行が、小津安二郎の大ファン
で、小津が愛したオナラギャグまで登場させるものだ
から、下ネタ大好き人間としては大いに笑ったもので
ある。
ちなみにこの周防という名字、我々はつい『すおう』
と伸ばして読んでしまうが、本人曰く『すお』が正し
いらしい。
この監督の前作である坊さんコメディ『ファンシィ
ダンス』も本木の主演であり、僧侶のトイレでの作法
を、クソまじめな顔で説明する様が面白かった。
というように、本木雅弘と下ネタはセットであった
のだが、近年ではお茶のコマーシャルのせいで薄めら
れつつあった。
ところがである。本木主演作『おくりびと』を見て
びっくり。また、と言うか、やはりというか、下ネタ
ギャグを炸裂させているではないか。これは本木とい
えば下ネタということが定着している証と見た。
これからも下ネタ大王として名を轟かせてもらいた
いものである。 (2010.11)
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今月の汗ダラダラ
記録的な酷暑と残暑もやっと終わったという時に、
暑苦しい題名で申し訳ない。
『憎いあンちくしょう』といえば、大規模なロケー
ションを展開したロードムービーだが、ソレガシの頭
に真っ先に浮かぶのがコレである。
ロケで捉えられた役者と通行人+見物人との生々し
い迫力はあまりピンとこず、とにかく印象に残るのは、
石原裕次郎の汗ダラダラ。
こう書いても多分なんのことかわからない方が多い
と思うので説明すると、この作品のラストちょっと前、
ジープを運び終わりヘトヘトになった裕次郎が、カン
カン照りの野っ原で、浅丘ルリ子を組み敷く。
その時、上半身裸の裕次郎の背中を、玉のような汗
が大量に流れるのである。
汗ってあんなに流れるものかね。と、この映画を何
度見ても、そればかりが気にかかる。
ついでにいうと、次にくる裕次郎の顔のアップも凄
い。なんかこう、肉食系そのもの。
組み敷かれている浅丘ルリ子はもちろん、今月二作
ずつ登場の笹森礼子と芦川いづみもペロリと平らげ、
他社(大映)のお姫様女優、高田美和まで喰っちまい
そうな勢いだ。
こんな風に感じるのはソレガシだけなのか?
そうそう冒頭で大規模なロケーションと書いたが、
もちろんセット撮影もある。ジープが立ち往生する山
道のシーンで、突然草ボウボウのセットになるところ
が、映画らしくて好きである。 (2010.10)
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今月の共同監督
今月上映する山本周五郎原作『続道場破り 問答無
用』の番組表には、三人の監督名が並んでいるが、こ
れはミスプリントではない。
ポスターを見て気付き、はじめは複数監督によるオ
ムニバス映画(短編集)なのかとも思ったが、どうや
らこれは共同監督ということらしい。
欧米の昔の映画には、共同監督作品は非常に多い。
かの名作(と言われる)『風と共に去りぬ』もそうだ
し、名作でもなんでもないB級怪奇映画『古城の亡霊』
なんぞは、実に5人の監督で創ったらしい(その一人
が新人時代のフランシス・フォード・コッポラ)。
不思議なことに、日本には共同監督の映画が比較的
少ないように思える。その中で有名なのは、成瀬巳喜
男と川島雄三という、巨匠とクセ者の共同監督作品
『夜の流れ』であろうか?
『続道場破り』のように、山本周五郎原作で共同監
督とくると、思い出されるのは実現しなかった『どら
平太』だろう。
これは、黒澤明、小林正樹、木下恵介、市川崑の四
人の共同監督で創るという壮大な企画だった。後になっ
て市川崑の単独監督で映画にはなったが、やはり四人
の共同作業が見たかった。『続道場破り』を見て、そ
んな幻の企画を想像するのも面白い。
そんな日本では珍しい共同監督だが、新作がある。
和田竜の時代小説『のぼうの城』が、犬童一心と樋口
真嗣で映画化される。どういった共同作業を見せるの
か、今から楽しみである。 (2010.9)
(補遺 2010.10)
ポスターには、内川清一郎、菊池靖、松野宏軌が監督として記載されているが、本編のタイトルでは、監督は菊池靖、松野宏軌の二人で、内川清一郎は監修となっていた。
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今月のアジの開き
まあどうでもいい話しだが、アジの開きはソレガシ
の大好物である。
そんなアジの開きが実に美味そうなのが、今月久々
の上映となる『美味しんぼ』である。以前書いたパー
ツ別映画ベスト10があるとすれば、アジの開き部門
のトップは、間違いなくこの作品だ。ただし、2位以
降がちょっと思い浮かばない。なにせアジの開きは、
映画になかなか登場しないのだ。
TVドラマならば、『俺たちゃ天使だ』、CMなら
ば、故伊丹十三が出演した『マヨネーズのある生活』
が入るかもしれない。しかしこの二本とも、どういう
わけかどちらもアジをサンドイッチにしていて、邪道
なことこの上なし。
ということで、『美味しんぼ』のベスト1は揺るぎ
ない。
やっぱりアジの開きは、劇中の財津一郎がやってい
るように、行儀悪く手づかみで、バリバリっと食べた
い。できれば骨まで程良く火が通っていて、骨ごとい
きたいが、アジの骨は硬いので注意が必要。
『人の心を感動させるものは、人の心しかない』
こんな台詞が『美味しんぼ』の原作漫画には、たび
たび登場し、読者をウムと唸らせるのだが、映画には
ない。それがなんとも残念なのだが、アジの開きには
人の心を感じた。
本来シリーズ化を当て込んだ映画化なのだと思うが、
これ一本で終わった『美味しんぼ』。せめてもう一本
くらい作っても良かった。 (2010.8)
(補遺 2010.9)
今回確認したら、財津一郎は手づかみで食べていなかった。原作の丸干しのエピソードと混同していたらしい。お詫びして訂正させていただきます。
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今月の別バージョン
今月の上映の『犬笛』は、少し前に浅草名画座でも
上映しているので、見た方もいるかも知れない。だか
ら、今回見なくていいやと言われかも知れないが、
ちょっと待って欲しい。
この作品に限った話しなのだが、実は当館と名画座
とでは、以前から上映時間の異なる別バージョンの
『犬笛』を上映している。どこが違うかは、目を皿の
ようにして記憶と照合して欲しい。
『ディレクターズ・カット版』などと称して、編集
を違えた別バージョン作るのは、その商業価値が認め
られてきた近頃の話しかと思うとそうではなく、サイ
レント時代からあった。
日本映画にもあり、海外の映画祭に出品する際に短
くされることが多かった。『七人の侍』、『怪談』、
『砂の女』といった作品が有名なところか。再編集後
どういうわけかどちらかのバージョンが行方不明にな
ことが時にあり、後年監督の心配事になったりする。
ちなみに上記三作の中では、『七人の侍』海外向け
再編集版(40分位短いらしい)が、現在ではトンと
見ることが出来なくなった。監督は短くして作品がダ
メになったとインタビューで答えていたが、一度見て
みたいものだ。それとは逆に『砂の女』は再編集で短
くした後、監督がそちらを気に入りオリジナルにして
しまった。今はDVDで手軽に見比べられる。
今回の『犬笛』も両方のバージョンがスクリーンで
見られる幸運なケース。さてどちらが面白いか、見た
人が決めて欲しい。DVDは出ていないよ。 (2010.7)
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今月の山本周五郎
今月の番組を見て、なんのネタも浮かばないので、
いよいよこのコラムも終わりかと思ったが、何度も眺
めているうちにフト『道場破り』に目が留まった。
ソレガシは、以前より『ぶらり信兵衛道場破り』な
るテレビ時代劇のファンなので、もしやこれは山本周
五郎の原作ではと思ったら、ビンゴなのであった。
『ぶらり信兵衛道場破り』は、当館でもおなじみの
高橋英樹主演で、『人情裏長屋』をはじめ、山本周五
郎の短編の数々をかなり自由に映像化した番組。いつ
のころからかテレビ時代劇というと、チャンバラが主
体の勧善懲悪ものが主体となってしまったが、そうな
る以前の人情時代劇である。
周五郎原作の人情ものというと、なにやら湿っぽく
説教臭いものを想像されるかもしれないが、大量の年
越しそばを、どうやったら伸びない内に出前出来るか
考えたり、大砲の力で航行する舟を造ったりと、かな
りぶっ飛んだ内容。興味を持たれた方は、今もCS『時
代劇専門チャンネル』で再放送中なので一度ご覧あれ。
で、今回の『道場破り』もそんな作品と思いきや、
あにはからんや、短編『雨あがる』を原作としたシリ
アス時代劇。『雨あがる』といえば、黒澤明脚本版が
有名だが、それ以前に映画化されていたとは思わなかっ
た(何度かテレビ化もされている)。見比べてみるの
も一興である。
おまけに、『道場破り』には『続道場破り 問答無
用』という続編まであり、周五郎ファンとしては興味
が尽きない。 (2010.6)
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今月のトラウマ
今月の目玉は、熱烈なリクエストをいただき、満を
持しての登場となる『妖怪百物語』である。この作品、
ソレガシは5歳の時に封切りで見たのだが、怖かった
のなんのって。
妖怪ろくろ首が不気味な笑い声とともにこちら側を
ニラむ。その恨めしくも艶めかしい眼差しに幼いソレ
ガシはただならぬ恐怖を感じ、なんとか視線から逃れ
ようと前席の蔭にうずくまり、ガタガタ震えたもので
ある。当然その夜は怖くて眠れないというオマケつき。
ソレガシのトラウマ映画第1号である。
もちろん今では平気の平左で見ていられて、なんと
も巧妙な作りに感心させられている。
昔からあった怪談会『百物語』に、寺社奉行の悪巧
みを暴いて懲らしめるという時代劇お馴染みの話しを
絡めるなんて、発想も奇抜だが、要所要所で妖怪を登
場させて、全体が怪談仕立てになっている。おまけに
上映時間は、コンパクトに78分。内容がギュッと詰
まったこんな濃い映画は、並みの職人技では出来ない。
職人技といえば、昔はCGなんてモンはないから当
然妖怪も手造りなのだが、当時の最新技術だけではな
く、奇術のトリックが使われているのが見物である。
それに大部屋俳優さん達が大張り切りだったたそう
で、熱意みなぎる妖怪たちには、CGでは出せない味
わいがある。
久しくスクリーンで上映されていなかったので、プ
リントの状態がチト心配だが、悪けりゃ悪いで楽しめ
るのがこの手の映画なので、お見逃しなく。 (2010.5)
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今月のシベリア
今月当館初上映となる『狼の紋章』についてである。
狼男という題材は、そもそも映画にし難い、と、な
んかの本で読んだことがある。その理由は忘れたが、
難しいと言われると作り手の闘志がわくのか、最近も
ハリウッドで新作が作られている。
そんな映画にし難い狼男に、果敢にも挑戦したのが、
『狼の紋章』である。ちなみに日本で狼男を題材にし
た実写映画は、これともう一本、東映の『ウルフガイ
燃えろ狼男』しかないハズ。ハズといっているのは、
筆者は最近の日本映画に疎いからだが、仮にあったと
してもそう多くはあるまい。
この二本の狼男映画、実は同じ原作者によるモノ。
TVアニメ『エイトマン』でお馴染みの平井和正であ
る。『ウルフガイ〜』の方が東映アクション映画風の
作りであるのに対し、『狼の紋章』は原作の雰囲気を
残した作品で、過去には原作ファンの署名運動によっ
てビデオ化が実現したというエピソードがある。
さて問題のシベリアだが、狼男の特殊メイクに使う
毛皮を、わざわざ外国から取り寄せたらしいのだが、
それがシベリアオオカミだったとのこと。とはいえ、
その出来はかなりの『???』なのだが。 (2010.4)
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今月の痛そう
映画なんて、しょせんスクリーンの中だけの出来事。
なんてタカを括っていると、まれにとんでもなく衝撃
的な描写に出会うことがある。今月上映する『切腹』
はその最たるものである。
腹を十文字に切ってから介錯人に首をはねてもらう、
という正しい切腹の作法教えてくれるありがたい作品
だが。それを斬れないタケミツでやろうってんだから、
今これを書いているだけでもなにやら寒気がする。実
際その迫真の場面は、見ているこちらにも身を斬る痛
みが伝わってくる。
痛みといえば岡本喜八である。たとえ映画であろう
とも、決していい加減な気持ちで人の死を扱わないと
いうこの監督は、例えば銃弾が命中した時などは、
『焼け火箸みたいなモンが通り抜けたんだよ。全身の
神経がそこに集中して硬直しちゃうんじゃない』
なんて演技指導したそうな。『独立愚連隊』ではそ
んな場面が見られるはずだ。
また『狼よ落日を斬れ』では、豪快人間唐竹割りが
登場する。まさに頭のテッペンから股に掛けて、縦一
文字に真っ二つだが。ここまでくると、痛いんだかな
んだか、斬られてみなくちゃわからないが、ソレガシ
は斬られたくない。 (2010.3)
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今月の昇り竜
筆者は長い間、扇ひろ子と扇千景を同一人物と勘違
いしていた。扇千景が宝塚出身であることは知ってい
たので、なにやら事情があって、東宝ではなく日活の
映画に出ているのだと思っていたのである。
まったく、無知もいいところだ。
今回無知を解消すべくいろいろ調べたら、ひろ子と
千景とでは十歳以上も歳が離れていることや、ひろ子
が歌手で紅白にも二度出ていることまで判った。
さらに面白いことには、扇千景の本名はなんと林寛
子! 一般によく知られている林寛子は、今月上映の
『男はつらいよ 寅次郎春の夢』に出ている。
さてひろ子の方は、東映の藤純子、大映の江波杏子
と並んで、日活の扇ひろ子と呼ばれた女任侠スター。
『昇り竜』や『朱鞘仁義』などのシリーズがある。
『昇り竜』シリーズというと触れて置かねばならぬ
のが、第五作の『怪談昇り竜』であろう。怪談とは名
ばかりの女任侠物で、お化けも出なけりゃ、扇ひろ子
も出ずに、梶芽衣子が主演になっている。
この作品はとにかく、内田良平の、上半身は背広、
下半身はフンドシ一丁というヤクザが最高。是非とも
当劇場でも上映したいのだが、十年ほど前にプリント
が廃棄されたらしく、やりたくても出来ない。
記録によると『昇り竜』シリーズは全部で5作ある
らしいのだが、三本しか確認できず、残りの題名がわ
からない。誰か教えてくれまいか? (2010.2)
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今月のC12
新年早々鉄オタネタで申し訳ないが、森繁追悼も兼
ねているのでご勘弁願いたい。
ソレガシは、『喜劇各駅停車』のタイトルを見ると
なにやら居ても立っていられなくなる。なにせ、全編
に渡ってC12が見られる映画だからである。
興味のない方に少々説明すると、C12とは旧国鉄
の小型蒸気機関車の型番である。軽快で、飄々とした
その走りは、どことなく森繁のイメージとも合ってい
るような気がする。しかも、超絶キャメラワークによ
り、森繁が本当に運転しているように見える。横移動
で延々と捉えた映像は、日本演劇界を牽引してきた森
繁の姿とダブッて、涙なくしては見られない。
原作は『機関士ナポレオンの引退』という題名であ
り、舞台版も森繁が主演しているので、彼自身この役
には愛着があったのではあるまいか。
映画版がなんでこんな題名なのかは不明だが、当時
は『喜劇』と銘打てばなんでもお客さんが入ったので、
こうなったと思われる。封切り当時のキネ旬で、かの
淀川長治が、『機関士ナポレオンの引退』の題名の方
が良かったと、苦言を呈していた。
実際、喜劇としては少々難があり(つまり、あまり
笑えない)、文芸作品として売るべき作品だったと、
つくづく思う。でもやっぱり、C12はいいなあ。
それでは、本年もよろしくお願いします。 (2010.1)
(補遺 2010.1)
またまたタイトルを間違えました。『機関士ナポレオンの引退』ではなく、『機関士ナポレオンの退職』でありました。お詫びして訂正させていただきます。ああこのコラム間違いだらけ。
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